「空気」がすべてを決めていく……国際関係、少子化、高齢化、若年層の雇用、教育、財政赤字、消費税率、
年金……。論点のそれぞれは深刻なのに、激しい対立もなければ現実的な妥協もない、それでいて何となく
何かが決まっていく、あるいは先送りされていく、それが日本社会のようだ。そこでは「空気」がすべてを
支配しているといってもよいだろう。論理や事実ではなく、「空気」が意思決定の主役になり、またその
「空気」が風向きの変化によってよく変わるのだ。(中略)「空気」が支配しているのは、一国レベルの
「世論」だけではない。個々の企業における「社内世論」や、学校のクラスにおける「先生ムカツク」とか「○○ちゃんウザい」というようなものも「空気」に他ならず、それぞれの小社会であたかも絶対権力を」
握っているかのようである。そして、この「空気」に対して、日本人の一人一人は無力である。
「何ごともその場の空気によって決まる、というのは良いことではない。だが、その場の空気が濃くなれば
それに対抗するのは難しいし何よりも損だろう」そんな感覚が日本の社会の隅々までを満たしている。
|