041号

サポート通信 041号2014年11月10日発行

保証会社の立替があっても、建物明け渡しは有効か無効か?!    
~平成25年大阪高裁判例・平成26年最高裁上告棄却~

賃貸人が部屋を借りる際、今や常識になりつつある保証会社の存在。それは少子高齢化や核家族化、民法改正等と進んでいく中で今以上になくてはならない存在となると言われています。
そんな保証会社が賃借人の家賃債務について保証する契約を締結し、賃借人の賃料不払について保証債務を履行した場合、賃料不払を理由に契約解除ができるのか?といった問題があがっていました。平成25年大阪高裁判決は「保証会社の保証はあくまでも保証委託契約に基づく保証の履行であって、これにより、賃借人の賃料の不払いという事実に省長を来すものではなく、ひいてはこれによる賃貸借契約の解除原因の発生を妨げるものではない」という判旨でした。
またこの判旨を受けて賃借人は上告及び上告受理申し立てをしましたが、平成26年最高裁判決により、上告棄却及び上告審として受理しないとされ、判決が確定しました。これは今後の保証委託契約にも大きな一石を投じた判例と言え、賃貸人のオーナー様や我々、管理会社にとっても朗報となる判決と言えます。

色々なオーナー様から、「今は昔と違って・・・」という言葉をよく耳にしますが、この案件そのものも本来、支払う期日内に賃借人が賃料を支払っていれば起こりうる裁判ではなく、常識的に保証会社が代位弁済を永遠に繰り返す訳もなく、追い出されることは予想がつくものです。それを正当化していく賃借人の常識感が信じられない気がします。
現在、管理物件の90%以上が保証会社加入を義務付け、万が一、悪質滞納が続く場合は保証会社と連携の上、契約の解除を行う場合もありますが、可能な限り正常な支払軌道に戻し継続入居して戴くことを、前提としています。
消費者保護が手厚くなるご時世、オーナー様や管理会社にとってもあらゆる規制が厳しくなっていきますが、そんな中、今回は一般論が判示されたことは我々にとって喜ばしい事と捉えています!