231号-2016.10.25

[ 2016.10.25. ]

231号-2016.10.25

営業力営業力の強化はどこでも最重点課題だ。日常起こる事例を教材としてケースメソッドにしている企業も多い。当社で一つの例を見てみよう!

担当部署から当社管理物件の申し込みとその客付け業者名の連絡が全社員あてにその都度ある。全社メールを受信し、自店のエリア内の物件であった場合、申込者のコピーを入手して対策を考えているだろうか?「あ、そうか」と流しているだけで何も考えず、何も感じないなら最早当社では化石だ!飾るだけの容姿もご利益もなければ価値がない。闘争心や屈辱感がなければ捲土重来を期す気概もないし、顧客に対する信頼喪失も気にならない。自分に対する屈辱のレッテル位に過敏にならないと去勢された「ただそこにいる人」に過ぎない。

① なぜ当社に来店せず他社で決まったのか? 
② その業者と自社との違いは何か?
③ 当社で案内がなかったのはなぜか? 
④ 決まった理由を自分なりに分析し改善しているか?
⑤ スキル、反響手法、ネット掲載等整理しているか? 
⑥ その営業は誰か、自分に欠けているのはどこか? 
⑦ その営業と会ったか? どんな動きをしているのか?

こういう小さな原因分析と自己改善テーマを直視し、回すことがその社員の成長に直結する。

これはひとえに営業職だけでなく、事務職を含めた非営業職に通じるものだ。
この点を指摘すると、直ぐに何もせず「あの会社は〇〇だから」と弁解する。「自分を甘やかせ過ぎだ! だから今以上に伸びないのだ!」という叱責も「馬耳東風」では情けない。「なぜ、なぜ」とトヨタのように5回繰り返せとは言わないが、せめて3回は繰り返してほしい。それがないとそのまま思考停止状態に陥り改善されない。

低迷社員はほとんど成り行きで行動している。本人は一生懸命しているつもりだが、空回りしている状態だ。それを指摘し指導するのがリーダーの役目だ。上っ面だけの原因分析で済ましていないだろうか?「事件は現場で起きているんだ!」というセリフが流行ったが、一番の原因はその担当が知っているはずだ。しかし、その情報は自己正当性のバイアスがかかっていると考えなくてはならない。更に既視感で判断しており、マイナス情報が満載だ。だから、自らその物件を見て確認し、整理することが必須になる。入手できるデータを自ら整理して問題点をつかんでおくことだ。良いリーダーの判断は在社時間の多寡でわかる。朝の朝礼で部下の行動を指示確認し、遅くとも10時には会社を出て現場回りと、顧客回りに割いている時間が5時間あれば一応合格といえよう。ただ闇雲に動けということではない。期初の計画に沿って月毎に落とし、さらにそれを週ごとに、一日ごとにと、より具体的な行動に落とすことになる。それを点検し、なぜできなかったのか、それをどうするのか、を常に繰り返す事が必要なのである。
指針に基づいて組織を引っ張るのだ。それを戦略といい、「勝つための指針だ」。戦術はその組織のサブリーダーに具体策を任すのだ。戦術は如何に戦うかを考えることだ。戦術は間違っても即変更することができるが戦略はできない。戦略の失敗は組織の滅亡に直結する。リーダーの役割は重要だ。

「世界のホンダ」を見よ! 浜松の工場で社員50名しかいない時に毎朝朝礼でみかん箱の上で本田宗一郎は「世界一のオートバイメーカー」になるといい続けた。当時の業界では誰も相手にしていなかったが、その5年後にイギリスのマン島レースでグランプリをとった。その後の活躍は承知のとおり。
ソフトバンクの孫社長を見よ!創業して2年、25歳のときに「1兆円の企業になる!」と社員の前で宣言している。いまやガリバーNTTを営業利益で超えた。不可能を努力で可能にしている。始めから大企業はない!日立、パナソニックみなそうだ!町工場からの出世組だ!社長の器もあるが、社員一人ひとりの考え方次第でどのようにもなる例だ。きちんと戦略を立て、速やかに戦術に移す、組織のベクトルをきちんと合致させる。
我々はせめて世界一とは言わないが神奈川県で一番になろうではないか!

営業には闘争心が必要だ!全ての問題は闘争心が解決する、ライバルには負けられないという意識だ。だから工夫もする、知識も貪欲に吸収する。当社ではこういう訓練をしないで、ただ勤務年数だけが経った社員が多すぎる。伸びたのは「やらない、できない言い方と弁解の仕方」だけだ。進歩を止めた動物は全て環境の変化に対応できず滅びている。変化に対応するとは自らストレスをかけることだ!強靭な精神力を自ら作ることだ!それは勝者の条件になる。

我々は「資本主義社会」という体制を選択した。そこでは「勝者と敗者」が必然的に発生する社会だ。「格差社会」ができる社会だ。「年収300万以下と、600万以下、1000万以上」の収入差がある社会だ。どれを選択するのも「自己責任」だが、相手(恋人、妻)はドウだろう? 若い時に切った「約束手形」は落ちただろうか? 最早、不渡りになったわけではあるまい。

幸いにもわが業界は、閨閥、学歴、資産では差別されない業界だ。だから、君の努力しだいで如何様にもなる業界だ。仲介部門だけでなく全部門にいえる。しかし、時間があまりない!20代は無我夢中で吸収する時期、30代はそれを使う時期、40代は知識経験をカスタマイズする時期、50代はその一部をより専門にする時期、60代はそれを社会に伝える時期である。

それぞれに応じた時期にするべきことが明確だ。それをしない人間は「落ちこぼれ」「人生の敗残者」とかって言われた。その時期にそれなりのミッションを消化できない社員は、早くそれを気づくべきだ。リーダーは年齢を問わず部下にその訓練をする必要がある。勿論リーダー自ら率先垂範しなくてはならないが。その地位は時期早々と見られる事もあるが、人生のチャンスと考えることが必要だ。「責任が重くなるから嫌だ」「給与の割には重圧が重い」という世代が増えているが此れは日本だけの特徴のようだ。全員が「将になる器」とは言わないが、組織を動かすダイナミックさをもっと人生経験の中で体験したほうが良い。部下は早くリーダーの地位に着くことだ。そういう訓練と鍛錬がなければ、精兵とは言えず、将にもなれない。当社だけでなく他社でも使える社員にはならない。売り物がないのだ!

一山いくらのディスカウント人生を選ぶか、一点ものの価値ある人生を選ぶか、は残りの人生が大きく変わる。加齢と共に機能は劣化する。それを補うものを準備しなくてはいけない。売り物を作れ!それは自分のスキルと実績だ!ダイヤモンドも原石では価値がない、磨かれてこそ価値があるのだ!

採用リスクという問題が大きくクローズアップしている。平成28年3月28日の東京地裁の判決だ。IBM社員の遅刻、欠勤、勤務態度や業績の悪さを理由に解雇したが、裁判所の判断は解雇するほど業績は悪くなく、性にあった職種に変えたり職位を降格したりして改善の機会を与えるべきで解雇に合理的理由がないとして退けた。かの会社に就職できるスキルなら、我々のような路傍の石レベルでなく立派なダイヤ並みの原石であったはずだ。しかし磨かないうちに劣化してしまったかもしれない。貴重な人的資産が失われた訳だ。我々は「生き続けなければならない宿命がある」なら、ある程度の資産と余裕を持ちたいものだ。それはじっとしているだけでは得られない、自分で獲得しなければならないのだ。それを早く気付いて実行したものが人生の勝者だ。

                               社長  三戸部 啓之