サポート通信 087号2018年9月1日発行
「心理的瑕疵」物件について
「アパート内で病死した場合、心理的瑕疵物件となる?!」
管理会社という立場上、物件内での死亡事故は年に数回発生してしまいます。瑕疵の中でも入居者の自殺や、凄惨な殺人事件などによって死亡した場合は「事故物件」と呼ばれ、「告知あり物件」として募集の段階から記載する事が義務付けられています。その為に賃貸条件も相場より2割~3割程度安めに設定されていて、それを承知で入居する方に限定されます。(ちなみに法令上は、このような事情があるから当然に家賃を減額しなければならないとされているわけではありません。)
一方、病死や自然死の場合はどうでしょうか。築年数の経過した公団などの孤独死問題はかつて大きな社会問題となっていましたが、昨今は公団に限らず民間の賃貸住宅でも数多く発生し、内閣府の調査によれば、平成27年に東京23区内で65歳以上の一人暮らし死亡者のうち、自宅での死亡者数は3,127人となり、過去最高を記録しています。平成15年が1,451人だったので、12年間で2倍超に増加している事になります。高齢化社会の進展や独身世帯の増加などで、賃貸住宅で亡くなるケースは稀な事ではありません。
病死などであれば、次の入居者も特別な感情を持たないであろうと解釈されており、特段の事情がない限り、心理的瑕疵にあたらないという考え方で、事故物件とする対応も基本的には必要ないと考えられています。 但し、病死や自然死の場合でも発見が遅れてしまい一定期間賃貸の部屋内で放置されてしまった場合は、死後の状況が新たな心理的瑕疵を構成するものと考えられ「告知あり物件」になってしまいますので早期発見は重要なポイントとなります。プライバシー保護が叫ばれる昨今、事故物件を回避する為の管理会社としての対策(契約方法、安否確認サービス等)が急がれている事を強く認識しつつ、業務にあたっております。