サポート通信 089号2018年11月1日発行
30年の期間を経て生産緑地の解除が可能となり一斉に土地の宅地化が起こると懸念されていた「2022年問題」。生産緑地は全国に1万3224ヘクタールあり、そのうち首都圏だけで6割を占めていると言われています。2017年5月の生産緑地の法改正で以下の変更が行われました。
①特定生産緑地制度の創設
特定生産緑地の指定を受けることで更に10年延長できます。10年経過後は繰り返し10年の延長が可能になりました。
②面積要件の引き下げ
一団で500㎡以上の区域が要件でしたが、300㎡にまで面積要件が引き下げられました。
同一敷地や隣接する街区内に複数の農地がある場合は、まとめて一団とみなして指定可能になります。
③建築規制の緩和
生産緑地内で生産された農作物の加工工場や販売施設、レストランの施設設置が追加
〇 都市農地の賃貸の円滑化に関する法律施行(18年9月)
・土地所有者以外の農業従事者への生産緑地の賃貸が可能になりました。
・賃貸する際でも課税の優遇措置が受けられます。
改正の中でも他の農業事業者への賃貸による優遇課税は注目されています。他の農家への賃貸ということになれば後継ぎがいない高齢の農家でも特定生産緑地の指定を受け、かつ農業事業者へ貸し出せば10年間の優遇課税を受け続けられます。国の懸念する乱売却や地価の値下がりも抑制される効果が期待されます。
それらが追い風になり、現在
「都会での野菜作り」「手ぶらで行けるシェア畑」「初心者でも安心のサポート付野菜作り」など、農園事業の利用者が増加しています。
地主から区画を借り上げ6㎡ほどの区画にわけて月々8,000円程度で貸し出すというしくみですが、今後は農業カフェを併設したり、収穫野菜の加工販売など新たな展開も期待できそうです。
課題としては、貸し農園事業を行う企業がまだまだ少なく、特定生産緑地指定を受けたい地主側と事業者側との条件がうまくマッチングしなければこの制度が利用できず、今後、賃貸条件などの競争が激化する可能性があります。
生産緑地利用についてのご要望などありましたら、コンサルティング事業部までお問い合わせください。