044号

サポート通信 044号2015年2月10日発行

猫の餌付けトラブル ~マンション敷地内の餌やりだったらどう対処するか?~
今や社会問題化されつつある野良猫への餌付けについて、賛否両論あろうかと思
いますが、賃貸マンション敷地内での餌付けとなると、様々な問題を引き起こしてし
まいます。今回は当社管理物件で実際に起こった事例を取り上げてみました。

■川崎市のとあるマンションの入居者から、マンション敷地内(駐車場や廊下)に猫の糞がよくされていて悪臭がひどい、猫が廊下や駐車場にいて子供が怖がる・・・等の苦情が入りました。このマンションは以前から同じクレームを何度か受けていて、現地調査にも行っていた経緯があり、入居者の中に餌やりをしている情報もあったため、早速、入居者全員に注意喚起のチラシを配布することにしました。住人に聞き取りをしてみると、いつも同じ猫との事なのでマンションを縄張りにしている野良猫という事が分かってきました。
 配布後、すぐに二世帯の入居者から反論の連絡が入りました。言うまでもなく野良猫に餌やりをしていた方で、言い分としては「昔から住み着いている猫なので可愛そう」「だいぶ弱っているのでいいのでは?」との思いから、以前から餌やりを続けているとの事。
当社としても、管理をしている以上、マンションの敷地内が猫の被害でひどい状態になる事は阻止しなければならず、かつ住人が安心して暮らせる環境を提供しなければならない、という事を再三ご説明し、お二人の方にご理解戴きました。その為、そこから対策を取る事にしました。

 猫よけまず多摩区役所に相談した所、役所の方から猫よけの超音波を無料で貸し出してくれるという事になり敷地の2ケ所に設置しました。同時に特殊な臭いで猫を寄せ付けない忌避剤を敷地外側に散布し、様子を見る事にしました。そうそう簡単には撃退することは出来ない事は分かっていましたが、定期的な忌避剤の散布と入居者への訪問などを繰り返し、クレームから3ヶ月が経過した所でようやく猫被害の兆候もなくなり、猫の姿も見られなくなりました。今回は猫の数が一匹という事と、短期間に継続的に対応した事が功を奏したのかも知れません。

猫の餌付けについては、平成22年5月に東京地裁で、集合住宅の自分の専用庭で外猫に餌やりをしていた人に対して、同じ集合住宅の住人から「猫の餌やり禁止」と「猫の糞尿被害による損害賠償請求」を求め、原告側の主張が認められたという裁判事例も出ておりますので、賃貸住宅での餌付けトラブルの今後の指針になると言えるでしょう。
今回のトラブルでは住人の餌付けが問題となった事例でしたが、賃貸住宅という枠を除けば、餌付けだけでなく、猫責任(排泄、病気、不妊手術)も併せ持つというモラルの重要さを考えさせられる案件でした。                                記:崎間