アーバンレポート 第271号2022年1月発行
相続は大変だ
一昨年、私の祖母が亡くなりました。享年100歳。晩年は足腰も弱ってきて移動には車イスを利用していましたが、お肉とお酒が大好きで、一緒に食事に行くと必ずステーキを注文するような元気なおばあちゃんでした。
祖母には、長男・長女(私の母)・次女の3人の子供がいます。長男はすでに他界していましたが、成人した子供が2人います。母と次女は、すこぶる元気です。相続とは言っても、特段大きな資産があるわけでもなく、祖母が貯めていた貯金や貴金属類などをどう分けようかと、母と次女と長男の子供2人の計4人でワイワイと話し合いをする程度でした。4人のうち3人が女性なので、貴金属を前にして「このネックレスは私が…」とか「このイヤリングはあなたが似合うんじゃ…」とか、終始楽しそうに話し合いは進んでいました。今回の祖母の相続に私自身は直接関係無いのですが、まがりなりにも宅地建物取引士ですので「ちゃんと書面の取り交わしはしているのか?」「漏れている資産は無いのか?」など、やはり気になります。後日、話し合いも落ち着いた頃に「問題なかった?」と母に聞いてみたところ、「問題なく分けることができて、遺産分割協議書に印鑑ももらったよ」とのこと。それを聞いて私もホッとしつつ、ひとつ気がかりだった“あること”を母に質問してみました。「そういえば、那須の土地(30年以上前に当時流行りの“別荘地”を祖父が購入。ですが、今では草木が生え放題の“お荷物”な土地です)は誰が引き受けることになったの?」と私が聞くと、さも当たり前のように「え?那須の土地?皆いらないみたいだから、そのまま~」と母。固まる私。『そこは放置か!』と大きめな心の声を発したあとに、冷静に「名義変更とかどうするの?」と聞くと、「まぁ、そのままでいいんじゃない。ウフフ。」と母。「いいわけないでしょ!」と思わず声が出てしまいました。