建設業の2024年問題と賃貸住宅への影響
アーバンレポート 第294号2023年12月発行
- 2019年4月、働き方改革関連法(正式名称:働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)が施行されました。
しかし、建設業においては、高齢化や労働人口の減少に伴う人材不足で長時間労働が常態化しており、すぐに働き方を整えることが難しいため、適用まで5年の猶予期間が設けられました。その猶予期間を経て実際には2024年4月から働き方改革関連法が適用される予定ですが、建設業においては様々な問題が危惧されています。
- 〈 建設業における2024年問題のポイント 〉
- ①時間外労働時間の上限規制
建設業では2024年4月より、時間外労働時間に罰則付きで上限が設けられます。働き方改革関連法の施行後も建設業は「36協定」を締結し届出があれば時間外労働時間(残業)に上限の規制は無く、法定労働時間を超過しても罰則はありませんでした。そのため実質無制限の状態にあり、労働時間が長時間になるケースが常態化していました。 - しかし今回の改正法適用により、原則月45時間かつ年360時間までに変更されます。さらに「特別条項付き36協定」の改正により、特別な事情があり上記の時間を超える場合でも、単月100時間未満(休日労働含む)・2~6ヶ月の月平均80時間(6か月が限度)・年720時間以内におさめるという上限が設けられます。
②時間外割増賃金の引き上げ
2023年4月より労働基準法が改正され、中小企業における60時間を超える法定時間外労働の割増賃金率が25%から50%へと引き上げになりました。これにより、月60時間を超える長時間労働者への人件費が大幅に増えるため、長時間労働の多い建設業では賃金引き上げに備えた対策が求められています。
- 〈 建設業を取り巻く現状と課題 〉
- 国土交通省は今年4月に発表した「最近の建設業を巡る状況について」、現在の建設業が抱える2つの問題を提示しています。それは、資材価格の高騰と少子高齢化による人材不足及び長時間労働です。